夏はバポナが良く売れます。
以前は、ハンコを持って行かなければ買えませんでしたが、
今は「1類医薬品」に分類されたため、薬剤師の説明を受けると買う事が出来ます。
「かんたん、吊るすだけ」
とか言いながら、なぜ薬剤師の説明が必要なのでしょう。
それはやはり、「使い方を誤ると危ない」からです。
バポナには大きさが3種類あって、使う部屋の大きさによって選択することになります。
狭い空間に大きいバポナを吊るすと、虫だけではなく、人も具合が悪くなってしまう。
かといって、広い空間に小さいバポナを吊るすと、効果が発揮できず、虫はいなくなりません。
こんな理屈は、特に悩まなくても、大体理解できると思います。
そしてこの理屈は、お薬を服用するときの「副作用」のお話ともリンクすることが出来ます。
お薬の副作用は、大まかに分けると二つ。
①お薬の効果そのものが強く出てしまった場合
②狙った効果以外のところで不具合が出てしまった場合。
バポナに例えると、
①は、バポナが効きすぎて、人まで具合が悪くなってしまった場合。
これは、過量服用=身体に対してお薬が多い時(狭い部屋に大きいバポナを吊るした時)に現れやすいです。
②はなんでしょう。例えば、バポナを吊るそうとして、踏み台から落ちたとか。(極端ですが)
お薬に決められた用法・用量があるのは、①の副作用を防ぐため。
更に、他のお薬と合わせた場合は、適当な用法用量が変化する場合もあるので、
その調整をしたりするのも、①を防ぐためです。
中には、夏場に汗をかいただけ、ご飯を食べただけ、などの理由で効き目が変わってしまうお薬もあり、
この辺りは、バポナのように単純ではないので、専門家の我々薬剤師が目を光らせる訳です。
具体的な例を見てみましょう。
まず、生活習慣病のお薬の代表として、服用してる方の多い血圧のお薬。
血圧が高いからと言って、下げるお薬をたくさん飲めばいいという訳ではないですよね。
飲みすぎると、血圧が下がりすぎて倒れてしまいます。
だからと言って、それが怖いからと少しの量しか飲まないのであれば、血圧は下がらず脳卒中などの原因になってしまいます。
血圧のお薬は種類がたくさんあるので、
まず、その方の症状にあったお薬を選択する、
(バポナ以外の防虫剤の考慮)
という作業が入りますが、その後はバポナを選ぶのと同じ理屈で、量を決めていく訳です。
次に、抗生物質などの抗菌のお薬。
皆さんは、医師がどのようにして抗菌のお薬を決定するするかご存知ですか?
抗菌のお薬にもいろいろな種類があり、
それぞれ、効果のある細菌と、効果の無い細菌があります。
ごく少ない種類の細菌にピンポイントで効くお薬もあれば、
広い範囲の細菌に効くお薬もあります。
風邪などで、何かの細菌感染症が疑われるとき、抗菌のお薬が処方されます。
本来であれば、何の細菌に感染しているかを特定してからお薬を投与するべきなのですが、
細菌を特定するには時間が掛ってしまい、その間にも症状が悪化してしまいます。
なので医師は、症状や、その時の流行、その他を考慮して、「勘」で抗菌薬を選びます。
ちなみに、「勘」というのは様々な知識や経験があるからこそ自然と働くもので、
「当てずっぽ」とは全く違うものです。
「だったら、何にでも広い細菌に効果のあるお薬を使えばいいじゃん」
と思う方もいると思いますが、
これは絶対にしてはいけないことなのです。
ここでバポナの原理。
広い範囲に効く抗菌薬というのは、「効きすぎて」しまいます。
つまり、病原菌以外の細菌まで攻撃してしまい、
善玉菌が死んでしまって治りが遅くなったり、下痢してしまったり、
関係の無い悪玉菌を刺激してしまって、耐性菌(怒ってパワーアップした細菌)が登場し、余計に具合が悪くなり、
更には、抗菌薬が効かなくなって手の施しようがなくなってしまったりします。
なので、
豊富な知識や経験がものを言う、「抗生物質の選択」が上手いという事は、「名医」の一つのバロメーターだと、私は思います。
では最後に、うつ病のお薬。
初めてうつ病のお薬を飲む方は、やはり何か特別なものを飲まされるのでは?と不安に思う方が多いですが、
薬剤師にしてみてば、うつのお薬だからと言って特別なものではなく、
他のお薬と同じように、
身体のなかで不足している物を補ったり、逆に多いものを減らしたり、
お薬的にしていることは全然変わりないのです。
ただ、血圧のお薬と違うところは、
検査の結果を見て単純に「このお薬」と決めることの出来ない分野で、
その点では、抗菌薬のように「勘」が必要になってきますが、
選択の幅は抗菌薬よりも広く複雑かも知れません。
更に、抗うつ薬の場合、適量が人によって本当にマチマチで、
飲み合わせの悪いもの、
(効きすぎてしまったり、お互いの効果を消してしまったり)
も沢山あります。
更に更に、
症状の経過によって適量や、適当なお薬そのものが変わってしまうので大変です。
だからと言ってこれも、
「いろんな種類のお薬を一気にたくさん出せば?」
という理屈が通らないことも、抗菌薬の選択の例と一緒です。
なので、この例もまた、医師の力量がとても問われる訳です。
そしてもう一点。
「お薬のやめ方」
血圧のお薬も、抗菌薬も、抗うつ薬も、
急に止めるなと言われます。
抗菌薬は、途中で止めずに飲み切りが原則です。
これは、
「虫が全滅してからバポナを外してください」
という事です。
半端に残ってるとまた出てきたり、耐性菌が出てきてしまうからです。
血圧のお薬や抗うつ薬を急に止めるな、というのは、
虫を全滅させるのはもちろん、
バポナの力で虫が寄ってこないうちに、
バポナ無しでも虫が寄ってこないような環境を整えながら、
例えば網戸を取り付けたり、虫の巣や卵が孵化しそうなところを整備したり、
様子を見て少しずつバポナを減らしていきましょう、という訳なのです。
そうでないと、バポナを外した途端、蚊どころか、いきなりゴキブリやスズメバチに襲われてしまうかもしれないからです。
そんな感じで、
かなり大雑把な内容ですが、
お薬は「使い方を誤ると危ない」ものなので、決められた用法用量があり、
闇雲にたくさん服用したり、いろいろなお薬を飲む事のないよう、
決められた通りに服用しましょう。
そうすることが、一番効果が出やすく、一番副作用の恐れを減らすことができる、
というお話でした。
以前は、ハンコを持って行かなければ買えませんでしたが、
今は「1類医薬品」に分類されたため、薬剤師の説明を受けると買う事が出来ます。
「かんたん、吊るすだけ」
とか言いながら、なぜ薬剤師の説明が必要なのでしょう。
それはやはり、「使い方を誤ると危ない」からです。
バポナには大きさが3種類あって、使う部屋の大きさによって選択することになります。
狭い空間に大きいバポナを吊るすと、虫だけではなく、人も具合が悪くなってしまう。
かといって、広い空間に小さいバポナを吊るすと、効果が発揮できず、虫はいなくなりません。
こんな理屈は、特に悩まなくても、大体理解できると思います。
そしてこの理屈は、お薬を服用するときの「副作用」のお話ともリンクすることが出来ます。
お薬の副作用は、大まかに分けると二つ。
①お薬の効果そのものが強く出てしまった場合
②狙った効果以外のところで不具合が出てしまった場合。
バポナに例えると、
①は、バポナが効きすぎて、人まで具合が悪くなってしまった場合。
これは、過量服用=身体に対してお薬が多い時(狭い部屋に大きいバポナを吊るした時)に現れやすいです。
②はなんでしょう。例えば、バポナを吊るそうとして、踏み台から落ちたとか。(極端ですが)
お薬に決められた用法・用量があるのは、①の副作用を防ぐため。
更に、他のお薬と合わせた場合は、適当な用法用量が変化する場合もあるので、
その調整をしたりするのも、①を防ぐためです。
中には、夏場に汗をかいただけ、ご飯を食べただけ、などの理由で効き目が変わってしまうお薬もあり、
この辺りは、バポナのように単純ではないので、専門家の我々薬剤師が目を光らせる訳です。
具体的な例を見てみましょう。
まず、生活習慣病のお薬の代表として、服用してる方の多い血圧のお薬。
血圧が高いからと言って、下げるお薬をたくさん飲めばいいという訳ではないですよね。
飲みすぎると、血圧が下がりすぎて倒れてしまいます。
だからと言って、それが怖いからと少しの量しか飲まないのであれば、血圧は下がらず脳卒中などの原因になってしまいます。
血圧のお薬は種類がたくさんあるので、
まず、その方の症状にあったお薬を選択する、
(バポナ以外の防虫剤の考慮)
という作業が入りますが、その後はバポナを選ぶのと同じ理屈で、量を決めていく訳です。
次に、抗生物質などの抗菌のお薬。
皆さんは、医師がどのようにして抗菌のお薬を決定するするかご存知ですか?
抗菌のお薬にもいろいろな種類があり、
それぞれ、効果のある細菌と、効果の無い細菌があります。
ごく少ない種類の細菌にピンポイントで効くお薬もあれば、
広い範囲の細菌に効くお薬もあります。
風邪などで、何かの細菌感染症が疑われるとき、抗菌のお薬が処方されます。
本来であれば、何の細菌に感染しているかを特定してからお薬を投与するべきなのですが、
細菌を特定するには時間が掛ってしまい、その間にも症状が悪化してしまいます。
なので医師は、症状や、その時の流行、その他を考慮して、「勘」で抗菌薬を選びます。
ちなみに、「勘」というのは様々な知識や経験があるからこそ自然と働くもので、
「当てずっぽ」とは全く違うものです。
「だったら、何にでも広い細菌に効果のあるお薬を使えばいいじゃん」
と思う方もいると思いますが、
これは絶対にしてはいけないことなのです。
ここでバポナの原理。
広い範囲に効く抗菌薬というのは、「効きすぎて」しまいます。
つまり、病原菌以外の細菌まで攻撃してしまい、
善玉菌が死んでしまって治りが遅くなったり、下痢してしまったり、
関係の無い悪玉菌を刺激してしまって、耐性菌(怒ってパワーアップした細菌)が登場し、余計に具合が悪くなり、
更には、抗菌薬が効かなくなって手の施しようがなくなってしまったりします。
なので、
豊富な知識や経験がものを言う、「抗生物質の選択」が上手いという事は、「名医」の一つのバロメーターだと、私は思います。
では最後に、うつ病のお薬。
初めてうつ病のお薬を飲む方は、やはり何か特別なものを飲まされるのでは?と不安に思う方が多いですが、
薬剤師にしてみてば、うつのお薬だからと言って特別なものではなく、
他のお薬と同じように、
身体のなかで不足している物を補ったり、逆に多いものを減らしたり、
お薬的にしていることは全然変わりないのです。
ただ、血圧のお薬と違うところは、
検査の結果を見て単純に「このお薬」と決めることの出来ない分野で、
その点では、抗菌薬のように「勘」が必要になってきますが、
選択の幅は抗菌薬よりも広く複雑かも知れません。
更に、抗うつ薬の場合、適量が人によって本当にマチマチで、
飲み合わせの悪いもの、
(効きすぎてしまったり、お互いの効果を消してしまったり)
も沢山あります。
更に更に、
症状の経過によって適量や、適当なお薬そのものが変わってしまうので大変です。
だからと言ってこれも、
「いろんな種類のお薬を一気にたくさん出せば?」
という理屈が通らないことも、抗菌薬の選択の例と一緒です。
なので、この例もまた、医師の力量がとても問われる訳です。
そしてもう一点。
「お薬のやめ方」
血圧のお薬も、抗菌薬も、抗うつ薬も、
急に止めるなと言われます。
抗菌薬は、途中で止めずに飲み切りが原則です。
これは、
「虫が全滅してからバポナを外してください」
という事です。
半端に残ってるとまた出てきたり、耐性菌が出てきてしまうからです。
血圧のお薬や抗うつ薬を急に止めるな、というのは、
虫を全滅させるのはもちろん、
バポナの力で虫が寄ってこないうちに、
バポナ無しでも虫が寄ってこないような環境を整えながら、
例えば網戸を取り付けたり、虫の巣や卵が孵化しそうなところを整備したり、
様子を見て少しずつバポナを減らしていきましょう、という訳なのです。
そうでないと、バポナを外した途端、蚊どころか、いきなりゴキブリやスズメバチに襲われてしまうかもしれないからです。
そんな感じで、
かなり大雑把な内容ですが、
お薬は「使い方を誤ると危ない」ものなので、決められた用法用量があり、
闇雲にたくさん服用したり、いろいろなお薬を飲む事のないよう、
決められた通りに服用しましょう。
そうすることが、一番効果が出やすく、一番副作用の恐れを減らすことができる、
というお話でした。